オランダへようこそ☆ことのは2編☆
こんにちは。ことのは2号館の赤嶺ちひろです。
突然ですが、皆さんのストレス発散は何でしょうか?
私は家事の合間に映画やドラマ、バラエティーなどの動画を流し見することで、プチストレス発散をしています。
ストレスは心身の健康をジワジワと蝕んでくるので、上手に発散していきたいものですね。
さて、私がそのストレス発散の動画鑑賞で少し前に見ていたものが「コウノドリ」という産婦人科を舞台にしたドラマなのですが、その中でダウン症児を身ごもったお母さんに「オランダへようこそ」というエッセイを紹介するエピソードがありました。
このエッセイは、セサミストリートの作家などをされていたエミリー・パール・キングスレイという方が書いたもので、ご自身もダウン症のお子さんを産み育てた経験があり、その経験を、誰にでも分かりやすく表現したものでした。
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「オランダへようこそ」
エミリー・パール・キングスレイ
私はよく「障がいのある子を育てるのってどんな感じ?」と、聞かれることがあります。そんな時私は、障がい児を育てるというユニークな経験をしたことがない人にでも、それがどんな感じかわかるようにこんな話をします。
赤ちゃんの誕生を待つまでの間は、まるで、素敵な旅行の計画を立てるみたい。
例えば、旅先はイタリア。
山ほどガイドブックを買いこみ、楽しい計画を立てる。コロシアム、ミケランジェロのダビデ像、ベニスのゴンドラ。
簡単なイタリア語も覚えるかもしれない。
とてもワクワクします。
そして、何か月も待ち望んだその日がついにやってきます。
荷物を詰め込んで、いよいよ出発。数時間後、あなたを乗せた飛行機が着陸。
そして、客室乗務員がやってきて、こう言うのです。
「オランダへようこそ!」
「オランダ!?」
「オランダってどういうこと?? 私は、イタリア行きの手続きをし、イタリアにいるはずなのに。ずっと、イタリアに行くことが夢だったのに」
でも飛行計画は変更になり、飛行機はオランダに着陸したのです。あなたは、ここにいなくてはなりません。
ここで大切なことは、飢えや病気だらけのこわくてよごれた嫌な場所に連れてこられたわけではないということ。
ただ、ちょっと「違う場所」だっただけ。
だから、あなたは新しいガイドブックを買いに行かなくちゃ。
それから、今まで知らなかった新しいことばを覚えないとね。
そうすればきっと、これまで会ったことのない人たちとの新しい出会いがあるはず。
ただ、ちょっと「違う場所」だっただけ。
イタリアよりもゆったりとした時間が流れ、イタリアのような華やかさはないかもしれない。
でも、しばらくそこにいて、呼吸をととのえて、まわりを見渡してみると、
オランダには風車があり、チューリップが咲き、レンブラントの絵画だってあることに気付くはず。
でも、まわりの人たちは、イタリアに行ったりきたりしています。そして、そこで過ごす時間がどれだけ素晴らしいかを自慢するかもしれないのです。
きっと、あなたはこの先ずっと「私も、イタリアへ行くはずだった。そのつもりだったのに。」と、いうのでしょう。
心の痛みは決して、決して、消えることはありません。
だって失った夢はあまりに大きすぎるから。
でも、イタリアにいけなかったことをいつまでも嘆いていたら、オランダならではの素晴らしさ、オランダにこそある愛しいものを、心から楽しむことはないでしょう。
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※引用 : ©1987 BY EMILY PERL KINGSLEY. ALL RIGHTS RESERVED.
翻訳 佐橋 由利衣 Yurie Sahashi. “子育て手帳+Happy しあわせのたね”.
公益財団法人 日本ダウン症協会. 2023-05-23.
https://jdss.or.jp/plus-happy/, (参照2023-05-22)
私自身はダウン症児を産み育てたわけではないのですが、人生誰しも
”こんなはずじゃなかった。どうして私だけ?”
と考え込んだり、落ち込むことはあるのでは?と思います。
そんな時にエッセイを思い返すことで、今ある現状の見方を変えることで、気持ちが少し軽くなったり、より豊かな人生にシフトチェンジ出来るカギになるのでは?と私は考えます。